日吉ダムのほとり、杉木立に囲まれた高台のお社です。かつて世木之荘の一ノ宮と呼ばれ、ダム建設で沈んだ天若の村から、村ごとこの地へ移ってきました。
天稚彦命(あめのわかひこのみこと)。この地では林業と農業の神様として祀られています。
古事記・日本書紀では、地上を平定するため高天原から遣わされた神として登場します。大国主神の娘・下照比売と結ばれて地上にとどまり、使いの雉を射た矢が投げ返されて命を落とした、と語られる神様です。なぜこの山あいで祀られるようになったのかは、分かっていません。
吾を祀れば五穀は実り、荘は久しく保たれる。吾を祀る所には、世に久しき木を生ず。
古文書によると、向かいの岩の上に神霊が降り、毎夜大きな光を放ちました。村の長老たちが神庭を整えて神楽を奏すると、天稚彦と名乗る神からこの神託があり、一夜のうちに杉が三本生えたといいます。
この「世に久しき木」が、地名「世木(よき)」の由来とされています。
水没前の天若では「宮の当」という当番の神事が続き、1月15日に「開かずの箱」が次の当番へ引き継がれていました。
拝殿の脇に五つのお社が並びます。天満宮には専用の石鳥居と石灯籠があります。